神長一康「勇者オリオンの三つの星」(2006)
[グレード:3 演奏時間:約7分 最低必要人数:35人 レンタル価格:30,000円(税別
)
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■まず作品についてお伺いする前に、ウインドアート出版代表である
神長さんに今回の企画についてお聞きしたいと思います。(聞き手:長谷川)
まずは今回の企画にご賛同頂き、素晴らしい作品を書いて下さいました
作曲家の皆様に心より感謝申し上げます。
今回の企画につきましては2006年委嘱作品についてのページでも
書かせて頂きましたとおり、少子化の昨今、教育現場の状況を自分自身で見て参り、
吹奏楽部顧問の先生方や吹奏楽指導者のご意見やご要望を伺って参りました。
その結果、皆様がまさに求めている作品を6人の作曲家の方々に委嘱しまして
書き下ろして頂きました。この新しいレパートリーから必ず皆様の バンドに
見合った作品が見つかる事と思います。
■さて「勇者オリオンの三つの星」ですが、作品のテーマやストーリーについて教えてください。
今回はギリシャ神話のオリオンをテーマに作品を書きました。
ご存じのとおりオリオンは狩人で勇者・英雄とされておりますがその一生は悲劇的なものでした。
王オイノピオンの娘メローペに恋心をいだいたオリオンは彼女に結婚を申込みました。しかし父である王は
それを認めず王は「山を荒らしまわっているライオンを退治してくれたならば…・‥」とオリオンに
それとなくほのめかしました。勇敢なオリオンはすべてのライオンを退治したのですが王は
結婚を許しませんでした。後にオリオンは王に目を潰され、さらに悲劇の道を歩む事になります。
すべてをお話しますと長くなりますので ここまでとさせて頂きますが、曲ではこのオリオンの
悲劇的な物語をテーマに書きました。もう一点、オリオンは星座となり、今の冬の夜空に
壮大な姿を見せています。 私は小学生の時教科書でオリオン座を見てましたが、当時実際に空を
見上げオリオン座を見た時、そのあまりにもの大きさと、美しく並ぶ三ツ星を見た時には小学生ながらも
ものすごく感動した事を憶えています。作品にも私がはじめてオリオン座を見た時の感動と
夜空に見えるこの壮大な星座を音楽で表現致しました。
星座を見る想いは、人それぞれですがこの作品を通じて私の想いが皆様に伝われば幸いです。
■今回は人数や難易度,時間に制約がありましたが
それをどのように作品に反映させたのか意図を教えてください。
私はこれまで比較的小編成向けで難易度もさほど高くはない作品を書いてきました。
ただ時間は約6分〜7分という短い時間にまとめなければならない為、
テーマの壮大さからいくとこの時間で説得力のあるものを書き上げるのには
苦労は致しますがストーリー性のある自分でも納得いく作品が書けたと思います。
■今回の作品はどのようなバンドに演奏して頂きたいですか?
吹奏楽部と天文部かけ持ちの生徒さん(ウソ^^
星座に興味あるないに関わらずより多くの皆さんに演奏して頂ければと思います。
そして皆様それぞれの視点で何かを感じて頂ければ曲を書いた者としてうれしいです。
■この作品を通
じて一番伝えたい事は何ですか?
皆さんがこの曲を演奏会で聴いて、帰り道に音楽を思い出しながらふと夜空を見上げて歩く・・・
そんな光景が見れるとうれしいですね。でも東京の空と山あいの空とでは見える星の数や
美しさは全然違いますよね。私はこれまで環境問題をテーマに書いた作品もありますが、
やはり今回もその思いは変わらずテーマのどこかにあるようです。
■吹奏楽ファンの皆様に何か伝えたい事はありますか?
音楽に取り組むには厳しい事もあるかと思いますがやはり楽しくなければ
ならないと思います。今回揃いました皆さんの委嘱作品はコンクールに向け
大変相応しい作品でありますと同時に、さらに音楽を楽しく取り組める作品であります。
ぜひ一作品でもお目を通して頂けましたら幸いでございます。
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■プロフィール
神長 一康 (かみなが・かずやす)
作曲家。1972年,東京生まれ。茨城県立取手松陽高校普通科卒業。
武蔵野音楽大学音楽学部作曲科卒業。同大学大学院修了。 大学在学中より室内楽を中心に作品を残す。
1999年及び2001年に東京にて「神長一康室内楽個展演奏会」を開催し、好評を博す。
2002年、作曲グループ「屮(そう)」結成20周年第17回作品展に出演。
同年CD「Brise Douce 神長一康室内楽作品集」(JILA-1432)がリリース。
代表作に、吹奏楽のための狂詩曲「海よ」、吹奏楽のための交響詩「山よ」がある。
現在、室内楽及び、吹奏楽の委嘱作品を手掛け、その他、編曲、客演指揮、
コンクール審査員等の活動を展開する。
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